二代目の帰朝 有頂天家族

有頂天家族 二代目の帰朝 (幻冬舎文庫)

すごく温かい気持ちになる物語だった。四兄弟、赤玉先生はもちろん天満屋や夷川早雲までも愛おしく思えた。登場人物みんな懐が広くて「だって狸なんだもの」「人間だから仕方ない」って酸いも甘いも受け入れて生きる姿勢が素敵だった。有頂天家族の登場人物はみんなどこかに分かりやすい欠点がある。

矢三郎は無鉄砲、いたずら好き、

赤玉先生はわがまま、挑発的、

海星は口が悪い、

夷川兄弟は嫌がらせ魔………笑

みんな難ありで付き合うのは一苦労だと思う。でも読み終えると欠点も含めて愛おしく思える。主人公矢三郎が全てを肯定して許せる度量の大きい人だからだろうか。私は心が狭いから周りの人の欠点を感じるたび、どこかで幻滅してる。矢三郎みたいな懐の深さに深さを私ももてたらいいのに。

「狸に笑うべきでないときなどない」「我々は面白おかしく生きるほかないのだから」

これも印象的だった。いろんな決まり、価値観でがんじがらめの今を大きな心ですっぽり覆ってしまえばいいんだよって総一郎さんに諭されたような気がした。


うんと波風立てて、面白おかしく生きる。


何かと頭でっかちな私には必要な処世術なのかもしれない。





あとがきはアニメ有頂天家族のプロデューサーの方。うる覚えですが何か印象的だったのでメモ


京都 には闇へと通じる穴がある

2つの世界

文豪の神様がいる世界

迷い込むと抜け出せない


弁天は文豪の女神様

矢三郎は女神に翻弄される小説家


森見さんの中に広がる文学世界を物語を通して私たちに見せている

その世界は暗くて広い。不気味さ、謎、魅惑的な狂気を秘めている



「京都には得体の知れない闇へと繋がる穴がそこかしこにある」ってこの人森見さんの精神世界について何か絶対掴んでる…それかこれ書く前に夜行読んでる。じゃなきゃその発想はどっから湧いてくるんだ…!!そしてもう少し詳しく解説してくれ〜〜!



【メモ】


夜行では長い夜、あべこべの世界

有頂天家族では地獄、弁天

として描かれている



女はもうひとつの世界に誘う特殊な存在